ジャスト伝説W
〜一日2食は米を炊いていたジャスト〜
by三河湾のデニス・コナー

 以前はジャストでは1日2食、レース中でも米を炊いていました。
新入りはヨットのことを教えてもらう前に、まず米の炊き方から仕込まれます。
柴田さんとか岡田さんなどは芯があるごはんを直す達人でした。

 その頃はオーナー以下、食べるというか食事をつくることに拘りがありました。
藤岡クルーは魚菜先生と呼ばれ、料理が好きで得意メニューも豊富でした。

 あるパールレース、強風のレースで、外洋は大きなうねりもあります。 その夕食のメニューは、クリームシチューです。担当は新入りの魚菜先生です。キャビンの中、お米を研ぎ炊いて、玉ネギの皮をむいていますが、そのうちうねりで気分が悪くなり、酔ってしまいました。

 後は例によってピンチヒッターはオーナーです。
コクピットでバケツを抱え、手際良くジャガイモ、ニンジンの皮を剥いています。煮込んで、やっと出来上がりましたが、更に時化て来て、結局食べたのはオーナーだけでした。
明くる朝、時化がおさまって食べたクルーもいました。

 魚菜先生は時化の時、全員が気持ちが悪いのにキャビンの中でエロ本を読んでいるオーナーを見て、この人ならばと ついて来たのだと、ミーティングの時、いつも言っています。

 レース中でも朝、食パンにバターを塗ってハム、レタスを挟んで、キャビンからクルーに一人ずつ渡してくれたオーナーですが、最近そんな食事は夢です。

 マリーナにいるときの朝食は、ご飯、味噌汁、のり、漬物です。桟橋の隣の僚艇ナルミと一緒に食べたものです。

 ジャストでは外洋ではカレーを作りません。それはカレーの味が喉に残って船酔いの原因となると思われるからです。そのかわり、ハヤシライスは作ります。

 あるクルージングの時、オーナーと魚菜先生は西浦漁港でイカとエビを買って来て、出てから八宝菜を作るのですが、なにせイカ、エビの皮を剥くのに手間がかかる上、火力の弱いガスと寸胴の鍋です。出来上がるまで3時間もかかり、おまけに、とろみをつける片栗粉を忘れて来ました。
シャビシャビの八宝菜でいまいちでした。

 それからは舟を出す前に料理の材料は前処理して、イカ、エビの皮を剥き、ワタも取って、又、野菜は皮を剥きカットして後は煮るばかりの状態にしておきます。

 今では完璧なレーサーとなってしまい、オーナーの大事な鍋、釜、調理道具を全部降ろされ、劣悪な食事条件となっています。お湯を沸かしコーヒーを入れるのが精一杯のジャストになって、食事を楽しむというゆとりも有りません。
昔がなつかしい。

 オーナーの腕を発揮してもらう場が無くなって申し訳ありません。
今度ぜひ、クルージングの時、得意のサンマごはん、ブイヤベースを御馳になりたいものです。



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