長崎ペーロン大会

by チャーリー岸田

 本日は長崎港でペーロン大会が行われた。「ペーロン」とは、26人の漕ぎ手による手漕ぎ船。その昔中国から伝わったものらしい。
 この日、長崎各地区の代表チームが集まり、この21日に長崎一のチームが決定する。
 前夜、長崎港の大波止埠頭に行ってみると、このペーロン大会観覧船の案内看板が出ていた。内容は出港時刻と乗場の案内。そして、

「乗船料:無料(出港20分前に整理券を配ります、先着順)」
 うーむ。この「無料」と言うのには困ったものだ。一般市民はこの「無料」と言う言葉に弱い。たとえ\100や\200でも、有料でさえあれば興味の無い人は乗りに来ないだろう。しかし無料であれば、このレースに全く興味のない人々までが押し掛け、乗船の整理券を貰うのは非常に困難な作業になってしまうに違いない。

 もし、三河湾のエリカカップ観覧船が乗船料無料であったらどうなるだろう。名古屋人は、とりあえず無料であればそれに乗らなければ損だと考えるので、レースに興味が無いどころか、「船酔いするから船は嫌い」と言う人々まで押し掛けてしまうだろう。

「う〜ん、困ったがね、わっち(私)は船は苦手だがね。ヨットのレースなんて判らんし興味も無いがね。だけど、乗らなかったら損するがね。損するくらいだったら船酔いした方がマシだがね。」
 それが名古屋人の一般的な思考回路である。しかし名古屋人でなくても、世の中の一般市民は皆無料と言う言葉に弱いのは事実だ。

 ところが・・・・・・
 当日、岸田が桟橋に行ってみると、観覧艇に乗りに来た群衆どころか、肝心の受付の係員さえ居ない。
 どうしたんだ? 係員はどこに行ってしまったんだ? 一体何があったんだ? 整理券はどこで貰えるんだ? それとも、もう整理券は全部配り終わってしまったのか?

本当に誰もいない!どうなっているんだ?

 そこで色々考えてしまうのが日本人である。まずは、どうして係員が居ないのか? その理由を考え、次に、次善の行動を決定するための情報収集に入るだろう。

 ここで論理的な思考を基本とする萩原エンジニアであれば、こう考えるだろう。

「@係員が居ない ⇒ A整理券がもらえない ⇒ Bだから観覧艇には乗れない」
 しかし、長崎は南国である。あの濱ちゃんを生んだ唐津よりももっと南にある町である。考え事をするにはあまりにも暑過ぎる。
 人々は何も考えず、そのまま桟橋を渡って整理券も持たずに観覧艇に乗り込んだ。南国の人々は、いくら無料であっても、わざわざ休日に早起きしてレース見物になど行かないのだ。これが長崎である。

 ここが日本であると言う前提で考えると色々困惑する事が多いが、この町が東南アジアの一都市であると考えれば全てが辻褄が合うのだ。マイペンライである。考えても仕方がないのだ。これが九州である。

 そして炎天下の長崎港で、長崎各地区の代表による熱い戦いが始まろうとしていた。

<今日の言葉>マイペンライ
 「マイペンライ」とは、タイランドの人々が最も多用する単語で、日本語に訳すと、「気にしない気にしない」と言う意味。
 タイランドでは、何があってもこの「マイペンライ」で解決してしまう。

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